私がゲームを選ぶ基準は、自分の好みの画であることです。
シナリオについてはやってみないとわかりませんし、同じメーカーでも当たりハズレはあります。ネットでの評価も自分の感性と同じかどうかわかりませんし、サクラも多数混じっていますので正しい指標にはなりません。ゲームというのは画やシナリオ、声優の演技、音楽、システム、サポートなど総合的に評価すべきものであることは、十分承知していますが、やる時間が取れない場合、最低限、綺麗なイラストが見られればよいと考えています。そのため、良作を見落としていることも多々あります。
今回、SAGA PLANETSの「はつゆきさくら」とYUZU-SOFTの「DRACU-RIOT!」という2つの製品を発売前から見てきて、宣伝媒体の効果について考えてみました。この2メーカーは「ほんたにかなえ」、「むりりん」、「こぶいち」(敬称略)という、私が現在好きな絵柄の絵師が原画を担当しています。その2メーカーが宣伝に用いた媒体の効果について見てみます。
発売前
メーカーにとって既存ユーザーに対しては新作を知ってもらうこと、新規ユーザーについては、マーカーでも作品でもよいので、まず興味をもってもらうことが重要です。
パンフレット
販売店での置き方で大きく効果が変わります。棚に集合ポストのように寝かされ、表面が見えない状態で置かれているのと、書架のように表面が見える状態で置かれているのでは効果が大きく違います。これは販売店の思惑次第で置き方が変わるので、宣伝効果は薄いかもしれません。今回、YUZU-SOFTの「DRACU-RIOT!」(18禁)のパンフレットは見ていないので配布されなかったのではないかと思います。
小冊子などの配布
パンフレットとも違い作品について、より深く説明され、HPでも内容がわからない小冊子の宣伝の効果は大きいと思います。配布会は店舗にとっては人の整理など大変ですが、来店してもらえることで対象製品以外も購入してもらえる機会となります。今回、YUZU-SOFT、SAGA PLANETSともに、全国の販売店で順次開催されました。
予約時の配布物
予約時点で、何かがもらえるなら、もらえないものより予約してもらえる可能性は上がります。購入までつなげられるかは配布物次第ですが、YUZU-SOFTもSAGA PLANETSも予約時に色紙の配布がされました。YUZU-SOFTは色紙に貼られたシールとアンケートはがきでのキャンペーンを行い、購入までつなげました。
デモ版
デモ版の配布方法は、CDやDVDをプレスして販売店に置いてもらう物理的な配布と、ネット上での配布があります。メーカーにとっては、発売前に多くの環境でバグ出しをしてもらえるものとして重要ですが、そのためにはフィードバックがもらえるネットでの配布でないと意味がありません。
昔、1章をまるまる入れたデモ版を配布したところ、話題になり売り上げに大きく貢献したことから、デモ版の配布が一般的になったようです。しかし、ゲームをやるユーザーはネット環境があるのが当たり前で、回線も速くなっています。物理的なCDやDVDでの配布は、配布会などで販売店に来てもらうことで販売店にはメリットがありますが、新たな顧客に作品を知ってもらう効果は薄いと思います。実行してもらえば、ゲームの雰囲気を知ってもらうには効果があるでしょうが、デモ版を貰うこと自体が目的になっているような気もします。
Webサイトのバナー
はつドラ合同バナーキャンペーンというものが行われていたのですが、約1600のサイトにバナーが掲載されたようです。ですが、殆ど貼られているのを目にしていません。個人のサイトが殆どのため、自分の巡回サイトでないためでした。個人のサイトを巡回するような人はコアなゲームユーザーであると思われるので、既に情報は入手している可能性が高いです。多くのユーザーが見るサイトに効果的に貼る方が効果が高い気がします。SORAHANEの「AQUA」についてもバナーキャンペーンをやっていたそうですが、発売1週間前に通販サイトで作品を知り、店頭予約は既に締め切られていたので通販で注文した経緯があります。
情報を短く簡潔に伝えられるため宣伝効果が高いです。しかし、多くの方をフォローしている場合、ツイートが多すぎ埋もれてしまい、見逃す危険性があります。あまりにも多くのツイートを発しているとフォローを解除されてしまうこともあります。
YUZU-SOFTのツイートは、カウントダウンムービーの配布、ブログの更新など適切な発信数とタイミングだったと思います。
一方、SAGA PLANETSはtwitterのアカウントが無いため、HPの更新のタイミングがわかりませんでした。RSSも配信されなくなりました。カウントダウンボイスの配布も、後にまとめて配布されたものを見て、3日に1回配布されていたことを知りました。
メーカーのHP
まず、来てもらうことが第一です。そのためのバナーキャンペーンやtwitterです。私がメーカーHPに辿り着くのは、販売店HPからのリンク、または、雑誌などの物理媒体で知った作品名から検索エンジンを使ってです。
一度来てもらえれば、次回も来てもらえるように更新情報を伝えるために、twitterのアカウントのフォローなどをしてもらえると効果があります。
HPではWeb技術力の差が大きく見栄えを変えています。
コンシューマーゲームのHPはデザイン会社に依頼しているようで、HTML5への移行が進んでいないため、見栄えの良いHPは未だにFlashです。例えば、COMPILE HEARTの「たっちしよっ!」のHPはFlashです。2012年4月から始まったTVアニメの「アクセルワールド」のHPもFlashです。
Flashが良くないのは、iPhoneが普及したことで、Flashに対応していないSafariで表示出来ないことは、情報を発信する上でデメリットになります。PSVITAやPSPでもFlashは表示出来ませんので、ここでもデメリットになります。
ParasolのHPは前作「でりばらっ!」まではFlashでしたが、最新作「恋妹SWEET☆DAYS」はjQueryを利用したものになりました。
SAGA-PLANETSのHPは普通のHTMLにJavaScriptを組み合わせたシンプルな作りですが、画を単純に縦横に並べず、シェイプを使った複雑なリンクを使って表現に変化をつけています。
YUZU-SOFTのHPは、culture japanの協力を得て、culture japanのプログラムを使っていろいろな最新の仕組みを取り入れたHPに作り直したようです。
一般的なHPは、ねこねこソフトのHPのように今では使われなくなったフレームなどを使ったシンプルなHPです。
ムービー
今回、YUZU-SOFTのカウントダウンムービーを見ていましたが、これの効果は大きいと感じました。毎日1分程度の紙芝居ムービーですが、キャラクターの性格を生かした表現をうまく伝えられていたと思います。OPムービーなどは社外発注で出来たとしても、カウントダウンムービーのようなものは、ムービーを社内で作成できるメーカーにしか出来ないことです。
カウントダウンボイス
音声による宣伝は効果が弱い気がします。まず、PCの音をONにしている人がどれだけ居るのか。特にPCゲームではどんなことをしゃべられるのかわからないので、迂闊に音をONに出来ません。ヘッドホンなどで音漏れ対策をしてからです。また、音声だけだと聞いてみないと内容がわかりませんが、ムービーは音をOFFにしていても表示だけで、ある程度内容は伝わります。
iPhoneアプリ
今回、YUZU-SOFTは「DRACLOCK」という「DRACU-RIOT!」(18禁)の宣伝iPhoneアプリをculture japanの協力でリリースしました。これは、「MiraiClock3」のプログラムを流用したものと一目でわかりますが、culture japanの協力を得られたことは大きいと思います。しかし、iPhoneアプリは審査に通るまでの時間が不定のため、予定に間に合わないことがしばしば発生しています。2012年1月に放送開始されたTVアニメのアクエリオンEVOLの「アクエリオンEVOL 禁断の合体キャッチャー」は放送開始前のTVスペシャルで宣伝されましたが、リリースされたのは2月になってからです。「DRACLOCK」で見れるDRACU-RIOT!のムービーも発売後にリリースされたのに、「発売予定」、「予約キャンペーン実施中」の文字があります。
宣伝にはtwitterのような、流れてしまう媒体よりFacebookを使うよう言われるのですが、ゲームの宣伝では殆ど使われていないように思います。Facebookを使うより自社のHPを充実させる方に力を入れているようです。
TV CM
これは大資本と手を組んだ限られたメーカーにしか行えない物ですが、最近ではCURCUSのD.C.IIIのTV CMが流れていますが、これは角川という大資本がついているためです。
発売後
アンケート
買ってもらったユーザーに対しては、御礼としてのキャンペーンなどで、次回作の購入につなげるためにも、アンケートの回収と、新規・既存ユーザーとして宣伝対象者の個人情報を収集することが重要です。
メーカーから離れる時
ここまでは、ユーザーがメーカーに寄ることについて見てきましたが、逆に、対応次第では、メーカーから離れることもあります。
作品がよければ、次回作も買ってもらえる可能性はあります。そのため、購入者に対して何かしらのメリットがある方法でアンケートを回収し、ユーザーの個人情報を収集する場合があります。
ところが、ここで出来ない、または実行するつもりのない約束をしてしまうと、評価がマイナスとなり、以後メーカーから離れてしまう場合があります。
事例1
製品にバグなどがあった場合のサポートはメーカーの義務です。サポートできないならノンサポートであることを明記しなければなりません。
昔、メーカーがゲームでバグを出しました。インターネットなど普及していないパソコン通信の時代です。メーカに接続し、パッチを入手したところ、DOM(Download Only Member)と言われ接続を切られてしまいました。バグを出した責任を棚に上げた対応に非常に腹立たしい思いをしました。
事例2
町内で引越しをしてすぐに、ゲームのファンクラブからの送付物が届いたのですが、親切に宅配業者が転居届をゲームのファンクラブに出してくれました。ところが、ゲームメーカーは、転居したのに届けを出さないとは何事だと、文句のメールを送ってよこしました。転居届を出してくれた宅配業者には申し訳ありませんが、ゲームのファンクラブから脱退し、このメーカーの製品を買うことは止めました。
事例3
アンケートはがきを何日までに送れば、おかえしCDを全員に送りますと言っている某メーカー。発送したというツイートを見て待っていましたが来ず、メーカーに問い合わせても回答がありません。
メーカーの認識
これらは、すべて製品ではなく会社としてのユーザーに対する対応、サポートに問題があります。
メーカーは、製品については保証する義務がありますが、それ以外は言ってしまえば義務になり、それをやらなければ嘘となり、メーカーのマイナス評価にしかなりません。アンケートはがきに扱いについては、悪く取れば、5000人に達しなければ個人情報取扱事業者にはなりませんので、メーカーの勝手でアンケートはがきを捨ててしまっても構わないわけです。
ねこねこソフトが制作を止めてコットンソフトを作り、また、ねこねこソフトを再開したり、RUNEやCAGEから製作者がスピンアウトし、たぬきそふとを作るなどの内紛は、会社の運営方針の変更やサポート方針の変更としてユーザーにデメリットを与える場合があります。
家電業界やIT業界のサポートは「東芝クレーマー事件」以降、大きく変わり、とても丁寧な対応で驚くほどです。実際それでサポート品質が上がったかと言えば、そうでもないのですが、問題が解決しない場合でも、当事者の感じ方は大きく違っています。そしてコンプライアンス面での対応も厳格になっています。
まとめ
私の感想としては、宣伝媒体としては、twitterやムービーが効果的だと感じました。一方、PCゲーム業界は、サポートやコンプライアンスに対する意識が、まだあまいように感じます。どんどん縮小するゲーム業界で、自らユーザーを減らすような対応は考えるべきでしょう。
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